dake008’s blog

アラフォー男子です。内容が中二病的だから、知人には読まれたくないし自分で読み返したくもない。そういうブログです。

和田竜さんの「村上海賊の娘」読んだ

和田竜さんの「村上海賊の娘」を読んだ。2014年に本屋大賞を受賞した歴史小説。この後批判的なことも書くけれど、全体としては面白かった。


村上海賊とは、戦国時代に瀬戸内海に実在した海賊集団、らしい。そして「村上海賊の娘」はその名の通り、村上海賊の当主である村上武吉の娘、景(きょう)の挫折と成長を描いたドラマ。織田信長の軍隊と毛利水軍が激突した第一次木津川合戦を舞台としていて、登場する人物やイベントは史実に基づいている。景も実在の人物らしい。けど、彼女の男勝りすぎる性格や合戦での立ち居振る舞いはフィクションらしい。つまり、史実の戦に実在する女性を参戦させたフィクション。「この話は史実に基づいたフィクションです」という事か。


本作を読んでいて、司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」を思い出した。あの作品も、史実をベースにしているとはいえ大分フィクションが混ざっているらしい(ちなみに、「竜馬がゆく」は僕が一番好きな本)。「村上海賊~」も、景のフィクション色が強過ぎる。まず、彼女は自他ともに認める醜女。仮にも姫なのに、嫁の貰い手がないレベル。気が強くてブスな女性が主人公の歴史小説ってずいぶん面白い設定だなと思ったけれど、読み進めていくと、どうやら彼女は顔が小さく目が大きくて、手足の長い西洋系のルックスであることが分かる。当時の日本ではブス、という設定。僕ら読者からしたら美人(表紙絵を見る限り)。そしてやたらと腕が立つ。気が強くて腕が立つ美人が、実在する戦で活躍する(活躍というにはかなり泥臭いけど)。それって、とっても漫画とかアニメとかゲームでありがちな設定。いくら、最強の海賊である村上武吉の血を一番濃く受け継いでいるという設定でも、これはやりすぎだなと感じた。腕が立つと言えば、三国志でいう呂布のような剛腕な武将も登場する(性格は呂布ではない)。彼なんかも名もない兵をばったばったとなぎ倒すんだけど、実際の戦ってそこまで個人の力量に差はないよな~。。読んでいて少し白けてしまった。基本的には史実に基づいていて面白いだけに、その辺りのフィクション色の強さがどうしても気になった。


ところで、この小説の根底には「家を守る」という考えがある。僕はこの考えにすごく共感できた。娘が生まれてから自分の仕事に対する気持ちって、これだったんだなぁと。僕の場合は、「家(一族)」ではなく「家族」だけど。家族のために仕事をする自分を、作中の武将に重ねて読んだ。僕の職場はビルの中で、武器はパソコン(システムエンジニア)。命を張ってる彼らとはだいぶ環境が違うけど。


最後に蛇足。この作品には雑賀孫市が出てくる。そう、司馬遼太郎さんの作品「尻啖え孫市」の主人公。「尻啖え~」は20年前に読んだけど、久しぶりに名前を目にして嬉しかった。村上海賊の孫市は「尻啖え~」とは性格がだいぶ違ったな~。懐かしすぎて、さっき図書館で「尻啖え孫市」を借りてしまった。読み終わったらここに感想文を載せます。